雪乃紗衣の少女向けライトノベル 発行部数はシリーズ累計650万部を突破
大丈夫よ。私は先へ行けないけど、かわりに、あなたが行ってね。みんなと一緒に。またきっと会える。時の円環をめぐって。いつか。会えるわ。大事な人。きっとまた。だって、あなたは私の一部をもってるの。だから。あなたが生きることは、私が生きることと同じ。
……ごめんね。お父さんとお母さん、約束の場所に帰ってあげられなくて。
ありがとう。
記憶を忘れても、ずっとずっと待っていてくれて。
でも、もういいの。
もう、私たちを待たなくてもいいんだよ。忘れたままで構わないの。
どうか幸せに――コウ、絳攸。
愛する私たちの幸運の子。
僕は僕ですから。誰を目指す必要もないと思ってます
私は君に何されてもいいし、君の好きにしていい。何やったって、嫌わないでいてあげる。優しくしてくれなくていいし、ひどいこと言われても今さら嫌いにならないよ。慣れてるし、いつものことだし、君にそんな高等芸期待してないし。
できることと、しなければならないことがあります。誰も助けてないのにまだ死ねません
……毎日毎日、たくさん働いたわ。だから私の手は全然、お姫様みたいな白くて細いすべすべの手じゃなくて。見るたびに溜息つくのよね。嫌いよ、こんな手。……でもね、いいの。父様と静蘭と私の三人で暮らしていけるなら。全然構わなかった
君が悩んで出した答えは、決して間違っていない。もう一度言うよ。君は私たちのために生きるのではない。君自身のために生きるんだよ
……何もかも終わる前にちゃんと面と向かって言えばよかった。本気で向き合って、理解するまで何度だって名指しでビシッと振ってれば、何かが違ってたかもしれない。
ああ、死を選んだのは彼自身の自己満足だが、選ばせたのは君だな。ただそこに在るだけだった惰性人間が、生死の選択をするまでに人生に興味をもったわけだ。君にしか、茶朔洵を救うことも殺すこともできなかった。だから、茶朔洵のために泣いてやれるのはこの世で君だけだ。葬儀も終わり、裁きも大半が終わった。あと君がすべきことは、泣くことだけだ。
愛してるわ。誰よりも愛してる。何もなかった私には、それだけで充分『幸せ』だわ……
誰かを踏み台にしたときから、背負っているのは自分だけじゃなくなったんだ。
潰してきた未来の分、僕達は出世しなければならないんだ。
好かれたかった。相手にあわせて自分を変えて、気に入られるように努力した。願いをなんでも叶えればいいと思った。……それしか知らなかった。今も本当にこれでいいのか、わからない。
一切の遠慮も、手抜きもしません。もう二度と負けてなんかあげませんよ。――藍楸瑛、今日これより、生涯心からお仕えすることを誓います。本気の剣を我が君に捧げましょう
『自分には関係ない』って言葉は嫌いだわ
傷つくのを一番恐れてるあの人が、私を選んだの。私を得ることは失うことと同じで、どうしようもなく深く傷つくかもしれないってわかってて。……それでも私が必要だというの
……君が好きだよ。君は僕がいなくても生きていけるけど、僕は違う。長い長い時を、一緒に歩きたいのは君だけなんだ。僕を置いてどこにも行かないで。僕のことを忘れたままでも構わない。何年かかってもいい。また君に好きになってもらえるように、精一杯努力するから
僭越ながら、なぜ女の身でとお訊ねになられても、その問いの答えは持っておりません。私は、私のできることをしにきました。自分が男でも女でも、私は国試を受けました。官吏になり、この手で多くのものを守りたいと思っていました。だから国試を受けたのです
口だけでも、理想も綺麗事も、言えなくなるのは悲しいわ。いつかいいことがあるって、一人で勝手に信じるくらいいいじゃないの。うつむくと、それだけでしょんぼりするからなるべく顔を上げようとは思うわ。強がりでもなんでも、言ったら現実になるかもしれないし
幸せって、誰かが与えてあげられるようなものじゃないでしょう。その人が感じるものだから、その人自身がつかみ取らなければ意味のないものなのよ。
……僕だったら、好きな人を幸せにするために、生きようと、思うのにな……
――他の男にくれてやるくらいならむしろ私がお嫁にもらいたいですよッ!!
……あんたたちと一緒にいると、すごく楽ちん。でも、寄っかかりたくないの。あんたたちと過ごした時間が、アタシを助けてくれたわ。あとは自分の力で立って歩くわ。どこまでできるかやってみるつもり
我が儘を言わないいい子でいたいと思ってるんですよ。そうじゃないとダメだと思ってるんですよ。自信がないみたい。でも、それって、普通のことでしょう?誰だって、大事な人には好かれたいと思いますもの
一人でなんでもしようとしないこと。怒ることも泣くことも、誰かのそばでするんだよ。
『彩雲国物語』(さいうんこくものがたり)は、雪乃紗衣の少女向けライトノベルおよびこれを原作とした漫画、テレビアニメ作品である。角川ビーンズ文庫(角川書店)より、2003年10月から2011年7月までに刊行されている。挿絵はアンジェリークの由羅カイリ。本編は単行本書きおろし、外伝(主に小説)がザ・ビーンズ、由羅カイリ作画によるコミックが月刊Asukaにて掲載終了とともに完結した。
架空の国、彩雲国を舞台とした中華風ファンタジー架空歴史小説。唐の三省六部を参考にしている。官吏登用試験である国試は科挙をモチーフとしている。また多くの制度は唐代のものを下地としているが、唐代にはまだ実施されていない殿試など、若干の相違点がある。婚姻は夫婦別姓式であり、子供は父親の姓を名乗ることが多い(母親の家柄が上の場合は母親の姓を名乗る)。一部ではあるが登場人物の名前やエピソードは『史記』や『三国志』などの中国の歴史書と『三国志演義』や『水滸伝』などの中国の歴史小説をモチーフしている。作者いわく「面倒なので都合良い箇所を抜き出しただけで、中華風でも中華風歴史でもない」。発行部数はシリーズ累計650万部を突破。ライトノベルとしては珍しく、高齢者の女性にも人気がある。
架空の国、彩雲国を舞台に名門紅家直系長姫ながら貧乏生活を送っている紅秀麗が、あるきっかけで「官吏になりたい」と一度諦めた夢を追い求め叶えようとする物語。昏君(バカ王)を演じていた劉輝や王の側近である絳攸らの尽力によって官吏となるも、州牧に大抜擢されたかと思うと冗官(無位無官の官吏)に落とされるなど、毀誉褒貶の激しい人生を送る。その過程で建国にもかかわったとされる「彩八仙」にもかかわってゆくが…?
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