芦奈野ひとしによる漫画作品 2007年に第38回星雲賞(コミック部門)を受賞
お祭りのようだった世の中がゆっくりとおちついてきたあのころ。
のちに夕凪の時代と呼ばれるてろてろの時間、ご案内。
夜の前に、あったかいコンクリートにすわって
のちに夕凪の時代と呼ばれるてろてろの時間、ご案内。
夜の前に、あったかいコンクリートにすわって
…わたしここが好きです こうやっておじさんとかと話したり海見たり―――
にぎやかな時もひとりの時もみんな好き
にぎやかな時もひとりの時もみんな好き
とつとつとひかえめにむまびく月琴の音はやがてハミングと重なってなめらかに流れはじめた
時々わしにはアルファさんが本当の人間なんじゃないかとそんなふうに思えてくる
時々わしにはアルファさんが本当の人間なんじゃないかとそんなふうに思えてくる
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よく見てみると とっておきたい風景は多すぎる
「いいものひろっちゃいましたよ!ほら!」
『ほらっておめえこりゃ…』
「きれいですよね!海の水の色ですね」
『…そうな 昔はゴロゴロしてたけどな』
[久しぶりに見たわね]
「砂の浜と海の色のビン 今日の収穫です」
『ほらっておめえこりゃ…』
「きれいですよね!海の水の色ですね」
『…そうな 昔はゴロゴロしてたけどな』
[久しぶりに見たわね]
「砂の浜と海の色のビン 今日の収穫です」
電柱が街の美観をそこねているそうです。世界的に。
すすんだ街は地下に電線があるといいます。
しかしめんどうなことに私達は「ないものねだり」。
未来のすっきりさわやかな空に、物足りなさを感じなければいいんですが
すすんだ街は地下に電線があるといいます。
しかしめんどうなことに私達は「ないものねだり」。
未来のすっきりさわやかな空に、物足りなさを感じなければいいんですが
最近少し気楽になる方法を見つけました あまり気楽になろうとしないことです
「今はただの林になってる所も海の上の街灯も光る かつて実用のために光っていた街灯 今はただ光るためだけに光る」
『見る人いないけど こんな華もあっていいわね』
「昔の人がのこしてくれた光の花」
『見る人いないけど こんな華もあっていいわね』
「昔の人がのこしてくれた光の花」
この店はえらく不便な遠い所だ でもどの位先のことになってもたぶんまた来る
どれだけ間があいても常連になれる店だ
どれだけ間があいても常連になれる店だ
私はこのカメラのことを本気で時間旅行機のように感じることがある
昔、「あの時もっとしっかり見とくんだったな」と思ってた場所に10年ぶりに行って思うのは
10年前のその日にこそ、よく見とけばよかったということです。
今見なければ、きっと10年後もそうなんだろうなあとも思います
10年前のその日にこそ、よく見とけばよかったということです。
今見なければ、きっと10年後もそうなんだろうなあとも思います
「マッキちゃんとタカヒロは同じ時代に乗ってるんだもん」
『?』
「私も今はみんなといっしょにいるけど これからも同じ時代の人って言えるのかわかんないし…」
『?』
「マッキちゃんはタカヒロと時間も体もいっしょの船に乗ってる 私はみんなの船を岸で見てるだけかもしれない
マッキちゃんとタカヒロはずっといっしょなんだよね それがうらやましいよ」
『?』
「私も今はみんなといっしょにいるけど これからも同じ時代の人って言えるのかわかんないし…」
『?』
「マッキちゃんはタカヒロと時間も体もいっしょの船に乗ってる 私はみんなの船を岸で見てるだけかもしれない
マッキちゃんとタカヒロはずっといっしょなんだよね それがうらやましいよ」
時間の流れはみんなに1個ずつあって とまらない
バイクと走り出してから世界が10倍にもひろがった
私はこいつとどこらへんまで見ていけるんだろう
私はこいつとどこらへんまで見ていけるんだろう
ちょっと長めに外歩きしようかなって
なんかいい機会ですし私ね…おじさんやココネと知りあってから思ったことがあるんですよ
ずっと前はうちしか知らなかったからここが私の場所だったんだけど
ちょっと前はスタンドの所 曲がると帰って来たなって気になって
今は朝比奈峠あたりからこっちは地元って感じがする
自分の場所は広くなるんだなあって…
なんかいい機会ですし私ね…おじさんやココネと知りあってから思ったことがあるんですよ
ずっと前はうちしか知らなかったからここが私の場所だったんだけど
ちょっと前はスタンドの所 曲がると帰って来たなって気になって
今は朝比奈峠あたりからこっちは地元って感じがする
自分の場所は広くなるんだなあって…
私達は―人が味わういろんな感覚が積み重なったもの
アルファさん 私たち人の子なんですよ
アルファさん 私たち人の子なんですよ
きのうまでの一年間がじわじわひとかたまりに過去になっていく
うまれてはじめてひとつ齢(とし)をとったきがしている
うまれてはじめてひとつ齢(とし)をとったきがしている
「あのさあ うそでニコニコしてやっていけるわけないじゃんよ
たしかに私ダラーってしてんけどさ あそびでお店やったりお茶出したりしてるつもりないよ
まあ常連さんが来てくれるからやっとこお店の形してるけど体がロボットじゃなかったら食べてけないかもね
でもさあ 食費がかかんない体だとか…ラッキーって思ったりはするけど
自分がロボットだってこといつも気にしてなきゃなんて 私思ってないからそれだけは言っとくよ」
たしかに私ダラーってしてんけどさ あそびでお店やったりお茶出したりしてるつもりないよ
まあ常連さんが来てくれるからやっとこお店の形してるけど体がロボットじゃなかったら食べてけないかもね
でもさあ 食費がかかんない体だとか…ラッキーって思ったりはするけど
自分がロボットだってこといつも気にしてなきゃなんて 私思ってないからそれだけは言っとくよ」
早いなあ 早すぎるよ
15年前、歩いて1時間かかるけど大好きな場所がありました。
10年前、バイクで10分のそこは、わりとお気に入りの普通の道になりました。
5年前、車で5分のそこは、ただの通過点になりました。
久しぶりに歩いて行ってみようかと思います。
10年前、バイクで10分のそこは、わりとお気に入りの普通の道になりました。
5年前、車で5分のそこは、ただの通過点になりました。
久しぶりに歩いて行ってみようかと思います。
「アルファさんはタカやマッキといっしょに成長してんだ
「一人好き」を語るにゃーアルファさんはまだ若すぎんかなー」
『わか…若い?ですかね…』
「ガキんちょ」
「一人好き」を語るにゃーアルファさんはまだ若すぎんかなー」
『わか…若い?ですかね…』
「ガキんちょ」
「大昔に遊びで作ったモノもらっても困るかもしれないけどね
私の若い頃の目と足なの
未来へ連れて行って」
私の若い頃の目と足なの
未来へ連れて行って」
「この数年で世の中も随分変わったわ
時代の黄昏(たそがれ)がこんなにゆっくりのんびり来るものだったなんて私は多分この黄昏の世をずっと見ていくんだと思う
私には時間はいくらでもあるからね」
時代の黄昏(たそがれ)がこんなにゆっくりのんびり来るものだったなんて私は多分この黄昏の世をずっと見ていくんだと思う
私には時間はいくらでもあるからね」
『━━━━先輩 俺たちくらいじゃないすかね
いまどきブラブラしてんの こんなとこで』
「今しか見らんない景色だよ」
『先輩がよく俺に見せたのはそんな『旬のもの』の風景だった
時代をよく表し別に注目されず2度と見られないもの」
「本とかでわかることでも現場で感じるのと全然ちがう 目の前のモノちゃんと見て…」
いまどきブラブラしてんの こんなとこで』
「今しか見らんない景色だよ」
『先輩がよく俺に見せたのはそんな『旬のもの』の風景だった
時代をよく表し別に注目されず2度と見られないもの」
「本とかでわかることでも現場で感じるのと全然ちがう 目の前のモノちゃんと見て…」
このまま30秒止められたらラッキーデー・・・
アルファさんは 今 もう自分の道を歩いている
ブログ管理人のコメント
人類がゆるやかに滅亡へ向かい、人間と見分けが付かないアンドロイドが生活する未来の話なのに、親近感が湧いてくる不思議な世界の作品です。日常を大切にしようと思える言葉がいっぱいです。ブログ管理人はアルファさんが好きなココネが好き。
人類がゆるやかに滅亡へ向かい、人間と見分けが付かないアンドロイドが生活する未来の話なのに、親近感が湧いてくる不思議な世界の作品です。日常を大切にしようと思える言葉がいっぱいです。ブログ管理人はアルファさんが好きなココネが好き。
『ヨコハマ買い出し紀行』(ヨコハマかいだしきこう)は、芦奈野ひとしによる日本の漫画作品。『月刊アフタヌーン』(講談社)において1994年から2006年まで連載された。単行本全14巻、新装版全10巻。2007年には第38回星雲賞(コミック部門)を受賞した。
「お祭りのようだった世の中」がゆっくりと落ち着き、のちに「夕凪の時代」と呼ばれる近未来の日本(主に三浦半島を中心とした関東地方)を舞台に、「ロボットの人」である主人公初瀬野アルファとその周囲の人々の織りなす「てろてろ」とした時間を描いた作品。
作中の社会状況は、明言はされていないが、断片的な記述を総合すると、地球温暖化が進んで海面上昇が続き、産業が衰退して人口が激減し、人類の文明社会が徐々に衰退し滅びに向かっていることが示唆されている。しかし、その世界に悲壮感はなく、人々はむしろ平穏に満ちた日々を暮らしている。また、詳しくは語られない正体不明の存在も多く、そのまま作中の日常世界に溶け込んでいる。これらの不思議については作中で真相が明かされることはなく、どう解釈するかは読者に任されている。
なお原作終了後に刊行された小説版(著:香月照葉)では、「夕凪の時代」の後に人口はさらに減少を続け、ほぼ滅亡状態となった「人の夜」を迎えた、としている。
各話は、登場人物の私的な日常を軸に展開し、また「ロボットの人」たちが周囲から、「ロボットという事は個性のひとつ」として受け入れられて生活している様子をとらえている。
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