同人サークルステージななによって制作された同人ゲーム
……ねえ、以前にあった7Fのルール覚えている?
……うん……わたしは諦めているから。
ねえ、あなたって…………最初に……死ぬって聞かされた時……泣いた?
……なによ……年下のくせに……
……楽に死ねると思う? ……このまま海に入っていくと。
……二十二年も生きたわたしは……どうなるのだろう……
何も食べるな。それが一番の近道。家族にとっても一番負担が少なくて済む。
ねえ、これって本当に好きなの飲んでいいの?
なあ、お前さ……もしかして、止めて欲しいのか?
あの子ね、黙って食べ続けるのよ、本当は嫌いなのに、私をガッカリさせないために。
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だって、最初から何も望んでなかったから……
あなた……わたしを引き止めたいの?
マキエ、あなたもあの病院に勤めているなら噂くらい聞いたことあるでしょ? かつて、7Fの病人にもかかわらず、車で勝手に飛び出しては怒られていた患者のこと。
……無意味に、ただ知識だけを増やした……
そう、だったらね……もしも、もしもあの子が……自分からわがままを言うことがあったら聞いてあげて。
あ、あの時頑張っていたら……もしかしたらって、自分にとっての最後の言い訳を取っておくしかないのよ…… さ、最初から、無理だと分かってるんだから…… そ、それくらい良いじゃないの……
……前向きになんて……なれるわけないじゃないの……憧れて、懸命になって、頑張って、いつか報われるのなら良いけど……でも、叶わなかった時にはどうすればいいの? その時には無理だったねって、笑って言えるほど強くないわよ……
時間を止め、心を止めて……情報だけを積み重ねる日々……地図を眺め、目を閉じ、知らない町を旅する日々……
例の……淡路島だっけ、行ってみたいか?
時間を止め、心を止め、胸に大きな傷跡を作り……それでも……二十二年も生きたのに哀れだと思った……
可愛い彼女さん……か。以前は兄妹だったから大きく進歩したかもな?
じゃあもしも……今、わたしが海に入っていったなら……あなた止める?
……ナルキッソス、水仙のことよ。
—こうして、俺たちの960kmの旅が終わった。俺にとっては十七日間、彼女にとっては二十二年間の旅も終わった。7Fでも家でもない、自らの意思で避けた彼女。
ブログ管理人のコメント
フリーで公開されたゲームとして規格外の完成度を誇る闘病モノのノベルゲーム。胸を打つ悲しいセリフでいっぱいです。ブログ管理人は物語の中心人物となる、不治の病で人生を諦めているセツミが好き。
フリーで公開されたゲームとして規格外の完成度を誇る闘病モノのノベルゲーム。胸を打つ悲しいセリフでいっぱいです。ブログ管理人は物語の中心人物となる、不治の病で人生を諦めているセツミが好き。
『narcissu』(ナルキッソス)は同人サークルステージななによって制作された同人ゲーム、またそのシリーズである。全世界で100万回以上のダウンロードを記録している(PSP版の作品紹介より)。
ステージななの主宰である片岡ともは、ねこねこソフト所属のシナリオライターでもあり、以前から「(ノベル型の)ゲームを追求していけば音楽とテキストだけで十分ではないか」と発言することがあった。この作品はそれを同人ゲームとして実験的に形にしたものであり、そのため「narcissu」、「narcissu SIDE 2nd」のWeb版は無料で公開されている。また、ゲーム中に表示される画像はほぼ背景のみで、ギャルゲーに一般的な立ち絵はまったくない。音声についても、制作発表当初は無しのみだったが、公開前にあり/なしの選択式に変更となった。
病院に入院してからの間に、あらゆる出来事に無関心となったセツミと、病院のホスピスとなっている「7階」に入ることになった主人公の話。
2005年冬。7階へやって来た主人公は、談話室で同じ7階に入院しているセツミと出会い、それからセツミとの会話ともつかないやり取りを繰り返す毎日を送る。 そしてある日、主人公は父が病室に置き忘れた車のキーを持ちだし、7階と自宅、どちらでも死にたくないと言うセツミと共に病院を抜け出し、あてもなく西へと車で向かうのだが……。
そしてある時、主人公の発案で水仙が咲き誇ることで有名だと言う淡路島へと行くことになる……。
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