四畳半神話体系 名言格言セリフ

森見登美彦による小説 2010年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞

 

腰の据わっていない秀才よりも、腰の据わっている阿呆の方が、結局は人生を有意義に過ごすものだよ

 

異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の破棄、肉体の衰弱化など打たんでも良い布石を打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。

 

可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である

 

小津は独特の話術でサークル内でも一定の位置を確保することに成功していたがニコニコと天真爛漫に微笑むことに困難を感じているらしくどうしてもにやにやと妖怪めいた笑みになりその腹の中に潜む邪悪さを隠しようもないという印象であった。彼だけは名前と顔が一致していた。むしろ、忘れられなかった

 

スモールワールドね

 

我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てにならないものに望みを託すことが諸悪の根元だ。今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。

 

私は、頭の中で推敲に推敲を重ねているうちに会話がすでに次のステージへ進み、発音するに値する台詞が堂々完成した頃には時すでに遅し、というパターンを飽かず繰り返していた。文法的に破綻した英語を喋るぐらいならば、わたしは栄光ある寡黙を選ぶだろう。石橋を叩いて壊す男とは私のことだ。

 

香織さんが我が四畳半へ闖入したときから、歯車が狂い始めたのだと言える。静謐であった私の生活にわずか数日の間に怒涛のごとく奇想天外な出来事が押し寄せ私は激流に巻き込まれた笹舟のように揉みくちゃにされたあげく、わけのわからぬまま別の方角へ放り出されていた。すべては小津の責任である。

 

樋口師匠が「闇鍋」を提案した。たとえ闇の中であっても鍋から的確に意中の具をつまみだせる技術は、生き馬の眼を抜くような現代社会を生き延びる際に必ずや役に立つであろうと言うのであるが、そんわけわけあるか。

 

「むにゅっとしてました、むにゅっとしてました」
彼女はまるで幽霊にでも出会ったように顔面蒼白になってがたがた震え、何度もそう言っていたのだが、終始堅固な外壁に身を包んでいる人が脆い部分を露わにしたときの魅力たるや、筆舌に尽くしがたいものがある。

 

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「僕なりの愛ですわい」
「そんな汚いもん、いらんわい」

 

大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。

 

「ぎょえええ」

 

大きなカステラを一人で切り分けて食べるというのは孤独の極地ですからね、人恋しさをしみじみ味わってほしくて

 

明石さんの同回生が「明石さんった週末に暇なとき、何してんの?」とへらへらと訊ねた。
明石さんは相手の顔も見ずに答えた。 「なんでそんなことあなたに言わなくちゃいけないの?」
それ以来、明石さんに週末の予定を訊ねる者はいなくなったという。

 

「我々は運命の黒い糸で結ばれているというわけです」
ドス黒い糸でボンレスハムのようにぐるぐる巻きにされて、暗い水底に沈んで行く男二匹の恐るべき幻影が脳裏に浮かび、私は戦慄した。

 

慰めるわけじゃないけど、あなたはどんな道を選んでも僕に会っていたと思う。直感的に分かります。いずれにしても、僕は全力を尽くしてあなたを駄目にする。運命に抗ってもしょうがないですよ

 

猫ラーメンは、猫から出汁を取っているという噂の屋台ラーメンであり、真偽はともかくとして、その味は無類である。

 

それが小津と私のファーストコンタクトでありワーストコンタクトでもあった。

 

そうして片隅の暗がりに追いやられた私の傍に、ひどく縁起の悪そうな顔をした不気味な男が立っていた。繊細な私だけが見ることができる地獄からの使者かと思った。それが小津と私の出会いである。

 

小津と私は同学年である。工学部で電気電子工学科に所属するにもかかわらず、電気も電子も工学も嫌いである。
一回生が終わった時点での取得単位および成績は恐るべき低空飛行であり、果たして大学に在籍している意味があるのかと危ぶまれた。しかし本人はどこ吹く風であった。

 

私と明石さんの関係がその後いかなる展開を見せたか、それはこの稿の主旨から逸脱する。したがって、そのうれしはずかしな妙味を逐一書くことはさし控えたい。読者もそんな唾棄すべきものを読んで、貴重な時間を溝に捨てたくないだろう。
成就した恋ほど語るに値しないものはない。

 

ブログ管理人のコメント
クセになる独特で魅力的な語り口と、大学生活のあるあるネタで人気の本作。機知に富んだ言い回しがいっぱいです。ブログ管理人は全力で後ろ向きなキャンパスライフを送る「私」と偏屈な乙女の明石さんが好き。

 

四畳半神話体系 名言格言言葉『四畳半神話大系』(よじょうはんしんわたいけい)は、森見登美彦による日本の小説である。書き下ろしで太田出版より2005年1月5日に刊行された。文庫版は2008年に角川書店(角川文庫)より刊行された。2010年には『ノイタミナ』にてテレビアニメ化された。アニメは2010年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞。

京都市を舞台に、京都大学3回生の男子学生が、1回生時に選んだサークルによって自らの大学生活をいかに変えていったか、その可能性を描く一人称小説。独立した4話から構成される。各話で「私」は異なるサークル・組織に所属するが、結末や登場人物が共通・関係しあっており、第4話で「私」は並行世界を横断することになる。物語の最後に並行世界であることが明かされる展開ではなく、各話の書き出しが統一されているなど、各話が全て並行世界であることを前提に描かれる。

第1話:四畳半恋ノ邪魔者 – 映画サークル「みそぎ」に入った場合の物語。
第2話:四畳半自虐的代理代理戦争 – 樋口に弟子入りした場合の物語。
第3話:四畳半の甘い生活 – ソフトボールサークル「ほんわか」に入った場合の物語。
第4話:八十日間四畳半一周 – 秘密組織「福猫飯店」に入った場合の物語。

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